理系講師の人生振り返り

60歳前で始めた「最後のブログ」

部門研修担当の先輩との別れ

別れは突然やってきた。

部門の人材研修で、心の距離感を縮められたインストラクターの先輩の話が聞こえてこなくなった。アドバンスコースが始まった「7つの習慣」研修も開催されなくなった。知らない間に亡くなっていた。

本部組織同僚の先輩に話を聞いてもらった。他にもサービス技術部門の50代の先輩が突然亡くなっている話を聞いた。

休日に自宅で昼寝をしているとき、誰かが来たので起き上がり、そのまま亡くなったのだった。

24時間365日の全国的な保守サービスを展開するためのシフト勤務。信頼関係を構築し、お客様が怒っていなくても、訪問時の最初の第一声は「どうもすいません」。

長年の勤務でストレスが溜まらない訳がないと思った。

部門研修担当の先輩との出会い その2

ポスターのデザインを確定させるため、部門担当スタッフだった部門研修担当の先輩は、何度も足を運んでくれた。

デザインを都合により少し変更するなど、細かいことも逐一報告してくれた。

翌年1月の部門ミーティングに呼ばれ、標語の優秀作品に選ばれた、異動前の技術課の先輩と一緒に表彰された。

担当役員から表彰状と記念品を拝受した。

部門研修担当の先輩との関係は続き、益々関係を深めることになる。

部門研修担当の先輩は「7つの習慣」認定インストラクターになり、「7つの習慣」が部門研修として開催された。

技術本部組織の所属長が1回目のパイロットコースに参加させてくれた。

間もなく、「7つの習慣アドバンスコース」が開催され、それにも参加させてくれた。

インストラクターの先輩との心の距離感は加速度的に縮小していった。

部門研修担当の先輩との出会い その1

入社から5年後、技術課から技術本部組織へ異動した。

異動して間もなく、新入社員研修で先輩の体験談を話して欲しいという依頼があった。これまで過ごした技術課での5年間を整理し、楽しかったことや、困ったことを話した。

退職を考えたことは話さなかった。多分、話さなかったと思う。

そのときに部門研修担当の先輩との出会いがあった。

その後、部門ポスター制作企画が発表された。部門内からデザインと掲載スローガンを募集することになった。部門研修担当の先輩が担当スタッフだった。

高専時代に英語の担当教授が授業で見せてくれた絵をヒントにデザインを考えて応募した。優秀作品に選ばれ全国の事業所に掲示されることになった。

標語の優秀作品に選ばれたのは、入社後の配属先でシビアな現場をはじめて経験させてくれた先輩だった。

異動が決まり転職を中止

転職を考えた企業の採用担当は、外資系化学メーカーを定年退職した創業者2名だった。

技術担当役員が社長、営業担当役員が専務だった。

専務は野球が大好きで、定年退職後は時間の余裕ができて野球ができるようになったことを喜んでいた。

社長はものづくりが大好きだった。見学に行った工場には、半導体のインゴットを製造する装置が複数台あった。社長の手作りだった。

社長は工場見学の後も食事に誘ってくれた。仕事の様子を聞いてくれた。課長からの退職慰留も正直に話した。

社長が転職を急がせることは決してなかった。

居心地の良い2社の間で心が揺れ続けた。

働いていた会社の所属部門で新規事業が立ち上がった。立ち上げたのは入社時の技術課長だった。新規事業を担当する技術本部組織へ技術課から異動することで決着した。

それから何年か経って、転職予定だった企業は、総合電機メーカーに合併された。

はじめての転職活動

はじめて退職を考えたのは入社後5年目だった。

出会った人々とのつきあいはとても楽しかった。

しかし、都会は怖いところというイメージは続いていた。だから、危ないといわれる場所には決して近づかなかった。

毎日飲んでいたお酒が飲めなくなるほどの体調不良だったが欠勤はしなかった。入社時の技術員トップの先輩が、そのまま技術課長に昇進していた。深夜や休日の呼び出しは断っても良いと、課長から許可をもらっていた。

しかし、深夜も休日も、自宅の電話が鳴らなくなることはなかった。

転職活動を始めた。今のようなインターネットが無い時代、どこから情報を入手したか覚えていない。

川崎の本社へ面接へ行った。地元にある工場の見学にも行った。往復の交通費も宿泊費も募集企業が出してくれた。

しかし、転職はしなかった。

退職を考えなかった理由

新卒採用下さった会社で2年働いたら地元へ帰ろうと考えていた。しかし、はじめて退職を考えたのは入社後5年目だった。

なぜ、そんなに続いたのか。

良い出会いが沢山あったからである。

サービス技術部門の新入社員研修は高卒、高専卒、中途採用が集まったクラスだった。高卒がクラスの7割、3割は中途採用高専卒は2名だけだった。

中途採用組にはお客様大企業の出身者もいた。元オペレーターだった。研修で利用した印刷装置に連続用紙をセットする手際の良さは、誰も真似できなかった。

配属先の技術課は、課長が早稲田出身の新卒採用、技術員トップの先輩は工業高校出身の新卒採用だったが、他の先輩は中途採用が多いようだった。

部門としては10年ぶりの新卒採用で、はじめての新入社員に先輩たちは戸惑ったようだが、受け入れようとする姿勢や気持ちはよく伝わった。とても居心地が良かった。

研修終了後のクラスマネージャーからの学び

新入社員の技術基礎研修でお世話になったクラスマネージャーも、1年後くらいにはインストラクター経験を積んで地元に戻って技術課長になった。

あるとき、配属先のお客様で地方拠点の作業があった。担当技術課に電話をすると、出たのは技術課長になったクラスマネージャーだった。

技術員は全員外出していて、秘書や事務職員ではなく、技術課長が直々に出たことに最初は驚き、言葉が出なかった。

電話ではあるが久しぶりの再会に、先ずは研修でお世話になったことのお礼。そして同期社員の話題で盛り上がった後、本題へ進んだ。

偉ぶることなく、先輩面を見せることもなく、同じ会社で同じお客様を担当する技術課長として、敬語で接してくれた。

自分もこういう先輩になりたいと思った。